コンサルは激務か。時期によっては、激務です
平均すれば、事業会社より長く働きます。ただし、それが毎月続くわけではありません。提案の前、報告の前、システムの本番稼働の前に山が来て、そこを越えると凪の時間が訪れます。コンサルの忙しさは、この山と谷の繰り返しです。
一方で、「徹夜が当たり前」という話も変わりつつあります。筆者自身も戦略コンサルティングファームで働いていましたが、徹夜したことは実際にありません。2019年4月から時間外労働に罰則付きの上限規制がかかり、コンサルティング業も例外ではありません。原則は月45時間・年360時間、労使で特別条項を結んでも年720時間、休日労働を含めて単月100時間未満が上限で、各社はこの範囲に収まるよう稼働を管理しています。公表されている数字では、ベイカレントの月間平均残業時間が25時間(2026年2月期)です。
戦略ファームと総合ファームでは、案件の規模とチーム構成が違う分、忙しさの出方も変わります。この違いは関連記事「戦略コンサルと総合コンサルの違い」で扱っています。
きついのは、労働時間より入社直後の立ち上がり
事業会社から移った人が最初につまずくのは、時間の長さより、求められるアウトプットの水準と成長期限の違いです。
- 業界知識、論点の立て方、資料の作法を同時に覚える必要がある
- 過去の経験では通る資料が通らず、作り直しに時間をとられる
- プロジェクトでの評価が、次のアサインに響く
この時期を越えると、同じ作業にかかる時間は目に見えて短くなります。入社後の半年で何を求められるかは、関連記事「コンサル転職後に活躍する人の共通点」で扱っています。
忙しさを決めるのは、ファームより案件
A社は激務でB社は楽という単純な比較はできません。同じ会社であっても部門や従事する案件毎に忙しさに差があります。振れ幅を作るのは次のような要因です。
- プロジェクトのフェーズ:提案・構想策定の立ち上がりと、報告直前は負荷が高い。一方で、定常運用フェーズは落ち着いた環境になることもあります
- チームの厚み・質:同じ作業量でも、アサインされているメンバーの数や質によって忙しさは当然変わります
- 領域:システム導入の本番稼働前、決算期に重なるファイナンス系の案件などは、山の位置が読みやすい代わりに山が高い
ファームの類型ごとの案件の入り方は、関連記事「コンサルティング業界の分類」で整理しています。
アサインの合間(アベイラブル)
プロジェクトとプロジェクトの間の待機期間は、社内でアベイラブルなどと呼ばれます。社内の提案支援や研修に充てられるのが一般的ですが、長さや評価への響き方はファームと部門で違い、制度として公表している会社はありません。
志望度を左右する割に、応募者が自力で調べる手立てのない部分です。VOLVEでは、志望部門でアサインがどう回っているかを、直近の入社者の状況とあわせてお伝えしています。
裁量労働制と、所定労働時間の違い
コンサルの働き方で誤解が多いのが裁量労働制です。専門業務型裁量労働制の対象業務に「経営コンサルタント」は含まれていません(対象になりうるのはシステムコンサルタント、中小企業診断士、M&Aアドバイザーの業務)。総合系・戦略系のコンサルタントは、企画業務型裁量労働制、フレックスタイム制、管理監督者のいずれかで働くのが一般的で、どの職位にどの制度を当てるかは会社ごとに違います。NRIはメンバー層をフレックスタイム制、アソシエイト職昇格後を裁量労働制と明記しています。
2024年4月からは、専門業務型でも本人の同意が必要になりました。自分がどの制度で働くかは、オファー時の労働条件通知書で確定します。
所定労働時間とフレックスの範囲
所定労働時間も会社によって違います。所定が7時間の会社と8時間の会社では、同じ「月30時間残業」でも総労働時間が月20時間変わります(2026年9月時点の募集要項)。
ファーム | 1日の標準労働時間 | フレックスの運用 |
|---|---|---|
合同会社デロイト トーマツ/コンサルティング | 7時間 | フレックスタイム制(コアタイムなし) |
PwCコンサルティング | 7時間 | フレックスタイム制(コアタイムなし、7:00〜22:00の間で就業) |
KPMGコンサルティング | 7時間 | フレキシブルタイム7:00〜22:00、コアタイム11:00〜15:00 |
アビームコンサルティング | 8時間(Solution/Strategy Consultant職) | フレキシブルタイム5:00〜22:00。対象はSenior Consultant以下 |
野村総合研究所 | 7時間30分(メンバー層) | コアタイム10:00〜15:00。アソシエイト職昇格後は裁量労働制 |
募集要項に書かれているのはここまでで、実際にどの時間帯に稼働が寄るかは部門と案件で変わります。VOLVEでは相談の際、志望部門と想定職位をうかがったうえで、その部門の直近の働き方をお伝えしています。
働き方の制度は、この数年で大きく整った
2026年9月時点で各社が公表している主な制度です。
- PwC Japanグループ:2022年7月に「Design Your Workstyle」を導入し、出社義務のないフルリモートワークと、国内に限り居住地を限定しない遠隔地リモートワークを可能にした
- KPMGコンサルティング:自宅以外での業務を免除する「Work from Home Program制度」、原則として深夜勤務が発生しない範囲で働く「Away from Keyboard制度」、毎週金曜15時以降に業務を終了できる「Jump Friday」
- アビームコンサルティング:勤務場所を選べる「Free Location制度」と、勤続満2年以上を対象にリモート率100%を認める「フルリモート制度」。週4日の短日勤務制度もある
- 合同会社デロイト トーマツ:ハイブリッドワーク、週3日・週4日勤務、最大2時間の短時間勤務を含む「フレキシブル・ワーキング・プログラム」
- 野村総合研究所:出社率5割を目安にテレワークを運用。暑中休暇・リフレッシュ休暇として各連続1週間の休暇を設定
育児休業も取れる前提になっています。男性の取得率は、アビームが79.0%(平均138日、2025年度)、NRIが74.1%(平均103日、2025年度)、ベイカレントが93.5%(2026年2月期)と公表されています。
働き方は、報酬とセットで判断する論点です。金額の相場は関連記事「コンサルタントの年収リアル」で扱っています。
【Q&A】コンサルの働き方に関するよくある質問
Q1. 結局、月あたりどれくらい残業しますか。
山と谷で大きく違います。落ち着いている月は事業会社と大差なく、山の月は上限規制の範囲いっぱいまで働くこともあります。平均として公表されている数字では、ベイカレントの月25時間(2026年2月期)が一つの目安です。年間でならすと「事業会社より長いが、昔聞いていたほどではない」というのが、実際に移った人の感覚に近いところです。
Q2. 裁量労働制だと残業代は出ないのですか。
裁量労働制はみなし労働時間で賃金を計算するため、みなし時間を超えた分の時間外手当は原則として出ません。深夜・休日の割増賃金は別に支払われます。フレックスタイム制で働く職位なら、残業代は通常どおり出ます。また、給与に固定残業手当を含めて提示する会社もあり、KPMGコンサルティングは新卒の標準年収に月約50時間分を含むと明記しています。
Q3. 事業会社から移ると、労働時間は増えますか。
増えることが多いです。とくに入社後の半年から1年は、仕事の作法を覚えながら成果を出す時期なので、時間がかかります。立ち上がりを越えると、同じ作業にかかる時間は短くなり、山と谷の差もある程度自分でコントロールできるようになります。
Q4. リモートワークはどの程度できますか。
制度としてはフルリモートを認めるファームもありますが、クライアント先への常駐や対面の会議が多い案件では出社が中心になります。制度より案件で決まる、と考えたほうが実態に近いです。リモート比率は求人票に書かれないため、VOLVEでは志望部門の直近の運用もあわせてお伝えしています。
Q5. 長期休暇は取れますか。
取れます。プロジェクトの切れ目に1〜2週間まとめて休むのが一般的な取り方です。制度面でも、NRIは暑中休暇・リフレッシュ休暇として各連続1週間を設け、PwCは年次有給休暇を年20日としています。逆に、プロジェクトの最中に長く抜けるのは難しいので、休みはアサインの区切りに合わせて組むことになります。
Q6. 離職率が高いというのは本当ですか。
事業会社より人の出入りが多いのは事実です。ただし、そのかなりの部分は「続けられずに辞める」より「経験を積んで次に移る」ケースです。コンサルで数年働いたあと、事業会社の経営企画や事業責任者、PEファンドなどへ移るのは、このキャリアの典型的な形の一つです。離職率そのものを開示しているファームはないため、数字で語られている情報は推計です。
Q7. 激務を避けたいなら、どのファームを選べばよいですか。
避けたいのは、ファーム単位で選ぶことです。同じファームでも、定常的な支援が中心の領域と短期集中型の案件が多い領域では働き方が変わります。志望領域の候補を2〜3に絞り、それぞれの稼働の傾向を確認したうえで応募先を決める。この順番にすれば、入社後の後悔はかなり減らせます。絞り込んだあとの準備の進め方は、関連記事「コンサル転職の選考対策・完全ガイド」で扱っています。
まとめ
- 平均すれば事業会社より長く働く。ただし忙しさは提案前・報告前・本番稼働前に集中する、山と谷の形
- 2019年以降、時間外労働の上限規制はコンサルにも適用され、「徹夜が当たり前」の時代は大手では終わっている
- きついのは労働時間より、入社後半年〜1年の立ち上がり
- 忙しさの差は会社の間ではなく、部門と案件の間に出る
- 裁量労働制の適用は会社・職位で違う。自分の条件は労働条件通知書で確定する
- 休暇はプロジェクトの切れ目にまとめて取るのが一般的
働き方の実際は、志望部門と案件で決まります。VOLVEでは、志望領域と想定職位を踏まえて、稼働と報酬の両面から応募先を一緒に絞り込んでいます。
参考文献・出典
- 厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
- 厚生労働省「専門業務型裁量労働制の解説」(2024年3月)
- 厚生労働省「企画業務型裁量労働制の解説」(令和6年4月1日施行)
- ベイカレント「Social(人的資本に関する指標)」
- 野村総合研究所 キャリア採用サイト「働き方」
- 野村総合研究所「2027年度 新卒採用 募集要項」
- 野村総合研究所「ダイバーシティマネジメント」
- PwCコンサルティング合同会社「中途採用 募集要項」
- PwC Japanグループ「Design Your Workstyle」(2022年7月1日)
- KPMGコンサルティング「新卒採用 募集要項」
- KPMGコンサルティング「新たな働き方に関する制度の導入について」(2022年9月28日)
- KPMGコンサルティング「働き方」
- アビームコンサルティング「働き方」
- アビームコンサルティング「数字で見るアビーム」
- デロイト トーマツ「新卒採用 募集要項」
- デロイト トーマツ「福利厚生・各種制度」
